金融機関の預金調査について
- 公開日:2014/12/10
- 最終更新日:2014/12/10
相続税調査では、記録が少ないことから金融機関への調査も多くあります。では、金融機関ではどのような調査を行っているのでしょうか。
1.お亡くなりになった方の預金取引内容の調査
まずはお亡くなりになった方の名義の預金取引明細を時系列にまとめます。複数の金融機関があれば、その取引を時系列に重ねます。すると「A銀行から、現金が出たけどB銀行に入金されている」などの動きが分かります。
また、一定の時期や金額などから生活費がいくらくらい必要であったかなども分かります。そのようなお金の動きを一覧表示することによって、出て行ったお金の行き先や入ってきたお金の出所について不明なものを抽出することができます。その内容の解明を行うため、金融機関で受け付けた伝票などを確認します。
2.入金伝票の調査
金融機関では、相続税調査である旨お伝えして協力をお願いします。その後、対象となる入金伝票などを確認することになるのですが、金融機関の規模によりますが、かなりのボリュームの伝票をめくることになります。
まずは、その入金伝票を探します。入金伝票には、いろいろな情報が記録されています。現金を持ち込んだものか、他の口座から出金したものか、いずれかを確認します。他の口座から出金された場合は、関連する出金伝票を探します。出金伝票が確認できましたら、その名義人の口座を確認します。このような動きをしていくことになるのです。
現金を持ち込んできた場合
本当に高齢者の方は、現金を持ち込んでくるケースが良くあります。ATMによる振込や最近ではインターネットバンキングなどありますが、高齢者の方は利用する際に「分からない」と言って現金を引き出し直接、手渡しや他の金融機関へ持ち込みをしています。危険なんですけどね・・・。
現金が持ち込まれた場合は、その日の数日前にどこかで出金がないか確認をします。金額的な開きが有るのか無いのか、などを見ながら検討を行います。臨宅した際には、現金出金をした際の金融機関の封筒がまとめられてないか金融機関の封筒に100万円程度の札束が入っていないかなども尋ねたり、実際にタンスの引き出しを見せてもらいながら確認をします。これは、常日頃、家の中にいくらかの金額のお金がある家庭とお金を全く置いていない家庭では、現金の出金の仕方や金融機関の取引状況に違いを確認するためです。
現金を多く置いている家庭は出金額が高額になり、取引間隔が数ヶ月に一度など長くなります。お金を置いていない家庭は、ほぼ毎月、必要額を出金する傾向にあります。また、口座からの引落しなどの利用も多く見受けられます。
まとめ
金融機関での調査は主に伝票の確認ですが、その伝票の筆跡は誰か、手続きをしている者は誰かを特定しなければなりません。仮に、出金した口座名義がお亡くなりになった方ではないとしたら、その口座名義人の財産ではない、逆に、その名義を借りてお亡くなりになった方が利用していたものと判断されることになります。
預金の種類は、普通預金や定期預金、定期積金など様々です。また、最近、金融機関では保険やファンドを扱うなどお金の預かり方の種類を増やしております。それらを含めて、検討を行い財産の確認をしていくのです。
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