売上除外の方法と理由
- 公開日:2015/04/07
- 最終更新日:2015/04/07
かつては脱税の手口は「売上除外」、つまり売上金額を少なく申告することが多かったものです。今回は、その「売上除外」についてのお話です。
1.売上除外の方法
税金の負担が大きいことを悩むのは、いつの時代でも同じです。事業が大きくなれば、いろいろな出費で資金繰りに頭を抱える方も多いのですが、そこに税金が加われば、頭痛が始まるなんてことも。
そこで、何かと考えるのが税金を少なく出来ないかという考えです。
手っ取り早く、考えるのが「売上金額を減らそう」という考えではないでしょうか。税務調査では、そのような方々が行ってきた「売上除外」の方法を見ることができました。少しご紹介をしますと、
①現金取引の一部除外
飲食店や小売店などの現金商売では、レジ打ちをすることで売上管理をしています。
つまりレジが通らなければ、売上に上がらないわけです。
・閉店間際など決まった時間は、レジ打ちをしない。
・飲食店などで出前は、レジ打ちをしていない。
・ランチなど決まったメニューは、レジ打ちをしない。
などのように、レジを通さないことによって売上の除外をしているケースがありました。
②単発取引を除外
基本的には、取引先が限定されているのだけれど、たまに入った取引分を売上計上しないなどが見受けられました
・単発取引を現金決済にして、通常、売上金の入金をさせる預金口座を通さない。
・単発取引では、通常利用していない預金口座に振り込みさせる。
などのケースがありました。
③一部の取引を除外
例えば主な取引先が3社あり、2社だけを売上計上して1社は全く売上計上しないというものです。
1社は、メインではない預金口座や家族名義の口座を利用して入金して売上から除外するというものです。
簡単な方法なので、よく見られるケースでした。「よく見られる」ということは、よく税務調査で見つけられたということでもあります。調査官も、そのあたりは普通に頭に入れて調査の展開を考えています。
2.売上除外の理由
売上除外を行うには、様々な理由があります。単に税金が高いと思う方で、売上除外を行う方もいらっしゃいますが、私が税務調査で指摘をした際には、その理由についてもお尋ねをしていました。
かつては、お子さんの仕送りの資金の捻出という理由が多かったように思います。数年前からは、親の介護施設などの利用料などの捻出のためにという傾向の変化がありました。それぞれの事情があったのですが、売上除外は脱税行為なので調査で指摘されると「重加算税」という罰金的な性格の加算税などが計算されます。
いくら家族の生活費の捻出のためとはいえ、税務調査官は見逃しません。
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