税務調査時の領収書の不正について
- 公開日:2015/03/09
- 最終更新日:2015/03/09
税務調査では、数多くの領収書を見ます。領収証は、様式や手書き、パソコン利用など作成形態などもあり種類が豊富です。これらを見て、不正が無いか確認を行うのが税務調査のひとつです。
1.領収書の改ざん
以前は、領収書などは手書きのものが多く、改ざんされているものをたくさん見てきました。では、改ざんされているかどうかを見極めるヒントについて説明しましょう。
¥マークと金額の間にスペースがあると「1、4、6、7、8、9」あたりの縦に長い形の金額を加えやすくなります。あまり金額的に増やすと罪悪感が大きくなるのか、書きやすいからなのか「1」を書き加えるケースを見つけることが多くありました。
書き加えているかどうかについては、
- ボールペンの色の濃さや違いを見る。
- ボールペンの線の太さを見る。
- 筆圧を見る。
このような観点から、書き加えたものかどうかを探ります。領収書で書き加えたものかどうか、疑わしいとき、私の場合は、蛍光灯などに向けて、裏から文字を透かして見るようにしていました。
領収書を記入したときと書き加えたときでは、下に紙の束があるかないかで違いがはっきりとする場合があります。
また、「1」に書き加えることによって、「4、7、9」などに変えたりしていているケースもよく見つけることがありました。これらは悪質な課税逃れと判断をします。罰金的な意味の加算税も重いものになりますので書き加えたり、金額を変えたりは厳禁です。
2.筆跡
昔、利用したことのある飲食店さんは店員さんが忙しいのか、領収証に何も書かずにお客さんに渡していました。日付と名前、領収金額はお客さんで記入してください、というものでした。そこのお店の領収書が税務調査で金額の表示があって出てきたときは、「これ誰の字?」と思わず聞いてしまいました。
書かれた文字を見て、誰の字であるか、よくテレビドラマで筆跡鑑定なるものが出てきますが税務署では、残念ながら鑑定できる人はいませんでした。しかし、鑑定とまではいかなくとも「この人が書いたと思われる」というところまで、絞り込むことはできました。
税務調査では、関係者に文字を書いてもらう機会を作ったりします。文字の特徴は、点や払い、はね、文字の傾斜などに表れます。
- 大きい、小さい、丸い、文字が尖っているなどの全体のイメージ
- 右払い、左払いのどちらかがが長い
- 「藤、後、権」など画数が多い文字は、崩した形となる
- 筆圧が強い、弱いなど
- 枠や記入する際の下線がある場合に、その枠や下線など気にせずに書くなど
- 「3、5、8」などの形
あらゆる特徴があります。それらの特徴を頭に入れて、関係書類の筆跡を見ます。先ほどの話ですが、白紙の領収書を誰が書いたのかは、これらの特徴で判断をしました。白紙の領収書に誰が書いたから、悪いとか脱税をしていると言うものではありませんが、領収書は領収した人が作成するものですのでご留意を。
銀行や証券会社などで手続き書類から、誰が手続きを行っているのかを判断するときも筆跡を確認します。相続人の方々にも判断できる特徴を説明しながら、誰の筆跡であることを説明したこともありました。プロの鑑定士はいませんが一定の情報をもとに、誰の筆跡か推測することは可能と思われます。
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