税務調査時の反面調査で知っておきたい3つの基本
- 公開日:2014/09/24
- 最終更新日:2015/03/26
臨宅調査が一旦、区切りとなると次の展開へと移ります。臨宅調査では、調査法人の記録や社長の説明などがされるわけですが、その記録や説明が本当のことなのか、相手に対して確認をさせていただきましょう、というのが「反面調査」です。
1.反面調査の調査内容
先ほど述べましたとおり、調査法人の記録や社長の説明が正しいのかまたは、記録や説明に無かったことがあるのか、調査官は、ひとつの事象に対して多方面からの見方を行い確認をします。反面調査先では、社長に協力をお願いし経理担当者などから、調査法人との取引金額、決済方法や作成書類などの確認を行ないます。取引金額やモノの動きを中心に確認することが多いのですが、必要があると判断をすれば、取引先の担当者にも質問をします。取引先担当者が、調査法人の脱税等の協力者ということも考えられるからです。
また、頻繁にあることではありませんが営業担当者が、取引先に依頼をしてリベートなど金銭等の要求をしたり、取引の金銭等を使い込みをしていたりと
調査法人、特に社長がが認識していなかった事実が発覚することもあります。社長の立場上、部下を信頼して営業させているわけですから、その事実を知ったときは複雑な心境でしょう。税務上ですが、その営業マンがもらっていたリベートは本来、調査法人の収入になります。それを収入として、計上していなかったことから「売上もれ(除外)」となります。また、金銭の使い込みも調査法人の経理を操作しないとバレてしまいます。使い込みをした営業担当者は、「値引きがあった。」「返品があった。」などいろいろな理由で「売掛金」の残高を操作するようにしていると思われますが、税務調査官がそれを見つけたら、取引を仮装していると判断をします。いずれにしましても営業担当者の行為は、税務上、調査法人へ跳ね返ってくるのです。
営業担当者の行為のみを確認するわけではないのですが、やはり、細かなことは調査法人の社長は知り得ていないことも多いのです。
例えば、社長が認識していたことは「過去」のことであり、「現在」の取引方法については、変化していることもあります。
社長の勘違いなども多々あったりするので、「反面調査」は、税務調査上、重要な位置づけをしていると考えている担当者は多くいます。
2.反面調査先の注意点
反面調査は、調査法人の確認に行くわけですが、まれに反面調査先が、税務上「よろしくない」記録をしていることを見つけたりします。反面調査先が、調査法人との取引について仮装や隠蔽を行っていることを見つけることもあるのです。調査先の取引数量や金額が、反面先の取引数量や金額の記録と違っている、こんな事実を把握した場合には、事実を記録しているのは、調査法人、反面調査先のどちらなのか!?その行為をしたことによってどのようなメリットがあるのか、いろいろなポイントを探します。このように反面調査によって、取引開始から現在までの経緯や取引実態を確認します。
仮に、反面調査先が不正を行っていることを把握したケースでは、その数ヶ月先には、実際の税務調査が行われることになるのは言うまでもありません。反面調査を協力した結果が・・・。そうならないためにも正しい記録・保存と申告を。
3.反面調査の拒否について
「反面調査でお邪魔したいのですが、・・・。」と、電話で税務署から日程調整をしたい旨の連絡がありました。あなたは、「無理です。」と拒否をしました。一度ならず二度三度と拒否を続けました、とします。ここまできたら、税務署もあきらめるのでは・・・、と思っていても、「調査にご協力をお願いします。いつだったらよろしいですか。」税務署は、あきらめません。
反面調査も調査の種類のひとつです。結論から言えば、「受任義務」が働きます。間接的に調査を受けざるを得ないようになっています。ご注意を。
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