相続財産出金されたお金の行方について
- 公開日:2014/12/24
- 最終更新日:2015/03/27
今回は、「お金がどこへ行ってしまったか」という点に注目して説明させていただきます。現金での出金の場合も、振込や振替の場合にも、「出金された」ということの確認だけで調査が終了することはありません。調査官がどのような確認をおこない、どのように調査をおこなっていくのかご紹介します。
1.現金で出金された場合
預貯金口座から出金された場合には、次のパターンが考えられます。
- 振込
- 振替
- 同じ金融機関で金融商品を購入
- 現金出金
上記のうち3つは、金融機関調査で伝票類の確認ができます。しかし、現金払いであった場合は、その行方を捜すのに苦労するのです。現金出金した場合は、次のパターンがまた考えられます。
- 現金をそのまま家で保管(家計費に回る)
- 何かしらの購入代金の支払
- 現金を誰かに渡した(親族・知人・関係法人など)
- その他
このようなあらゆる可能性を抽出して、確認しなければなりません。出金額に端数が付いたものであれば、必要金額が表示されていることになるのでヒントになりやすいのですが、ゼロが並ぶ金額ですと、行方が分からないままになることもあります。このようなケースになるかもしれない想定をしながら臨宅した際には、あらゆる書類、特にお金が動いていることが分かるものを収集しておくことが大事になります。
相続人の方々が、高齢で記憶があいまいになりやすいこともあります。相続人の方が、「そんなの関係あるの?」と、思われるような書類もコピーをとるなどして保全しています。
2.振込や為替の場合
現金で出されたら、追いかけるのに一苦労ですが、振込や振替などは、追いかけるのにそれほどの手間はかかりません。最近では、ATMなどで手続きをするケースもありますが、
- どこの支店のATMで行ったか
- 誰に送ったか
などは通帳に記録されます。後は、その振込された口座内容を確認することになるのです。伝票手続きをしているケースでも、その伝票の筆跡を確認することは忘れません。「誰が手続きをしていたか」このことは、財産の特定にあたり非常に重要なポイントになります。
例えば、配偶者の方が亡くなられた方と同行して手続きをしていたりすることもあります。また、家計を預かっている方が手続きをするケースもあります。亡くなられた後に、それらの口座の存在を知っていたか、知らなかったのか、亡くなられた方のお金で形成された財産か否か、これらを総合的に判断をして申告もれ財産があった際の加算税の種類、延滞税の対応を決定するのです。申告もれとなっていた財産について、配偶者が手続きをしていれば当然、存在を知っていたことになります。お金をどのように動かして、そこに残高が形成されたのかも理解できているはずです。
このようなケースで、「私、こんな預金があるなんて知りませんでした。」とは、言わせないようにしておくのです。臨宅調査の初日で、その家計の管理や亡くなられた方が、ATMを利用していたかなどをお尋ねして、亡くなられた方や家計管理をされていた方の行動パターンを知っておくことが重要な情報となります。
まとめ
以上のように預貯金口座から出金されたお金は、「出金された」で確認が終了されることはありません。出金された後の動きが重要になるのです。先ほども述べたように、現金で出金されたケースでは非常に確認が困難になります。しかし、何かしらのヒントが家の中にはあるものです。調査官は、それを探すためにあちらこちらに視線を向けています。
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