反面調査から税務調査へ
- 公開日:2015/06/17
- 最終更新日:2015/06/17
税務調査では、A社の取引金額の確認をするためにB社へ行き、B社の帳簿や各種書類を確認することがあります。
これを「反面調査」と言います。
この「反面調査」を行っている際、そのB社の不正を見つけることがあるのです。
1 反面調査について
税務調査では、取引金額や内容について確認が不足したり必要があれば、取引先へ直接、確認することを「反面調査」といいます。
例えば、
- 毎月取引があると想定されるのに一部の月について取引金額の記録が無い。
- 逆に、一部の月だけ通常の取引金額よりも高く、取引内容を確認する必要がある。
- また、取引の際に作成される書類の様式が違っている、発行されない。
など、通常とは、違うことがあると反面調査を行います。
例えば、通常ではパソコンや専用ソフトなどで作成されている書類が、手書きで作成されている。このような場合は、どのようなことが想定されるのでしょうか。
- 配達をしたときに数量の変更があった。
- 通常の取引以外に発注をした。
- 書類を改ざんした。(書き直した)
いつもと違う取引があったと想像ができます。
もし、これが「書類を改ざんした」のであれば、本当の取引はどのようなものであったかを、取引相手の記録や保存書類を確認します。
多くの場合、書類の改ざんがあった場合は、何かしらの不正につながるのではないかと税務調査官は考えてしまいます。反面調査で不正内容の確認を行うのです。
2 反面調査先が不正に加担?
実際には、反面調査を行う旨、事前に連絡をして協力をお願いします。このように了解をいただいた上で、取引先へ訪問します。
税務調査官は、調査対象法人との取引について細かく質問をします。調査先との商品の流れや納品書や請求書などの受け渡しなどを聞き取りをして実際の書類を確認します。
関係書類を調べながら、調査先で把握した書類と照合したりどのように記録されているかも確認します。
先ほど、述べました手書きの書類の手控えは保管されているのか、記録はどのようになっているのか。
最近では、取引内容をパソコンで管理している方が多いので、これらの保存や記録があればいいのですが、保存が無いとしたらどのように思いますか。
実は、反面調査先である取引先が協力者であることもあります。双方で脱税行為をしていることもあるのです。
こういった事実を確認した税務調査官は、同じ税務署管内であれば、すぐに担当部署へ連絡することになります。また、違う税務署管内であれば、脱税内容を手続きに従い連絡を取ります。
このように、取引先が税務調査に入った場合の協力をしたけども藪蛇になることもあるのです。
不正を行う場合には、そのきっかけがあるのですが、どちらかが話を持ちかける「主」の立場がいて、その話を受けざるを得ない「従」の立場がいます。
「従」の立場は、仕方なく「主」のやり方に従っているということが多いですね。
3 営業担当者の仕業
反面調査では、書き換えられる前の書類で保存、記録している場合にその会社が全く不正に加担をしていないと主張している場合が見られます。
実は、営業担当者が個人的に不正を行っている場合があります。
例えば、
- 税務調査先も反面調査先も不正をしていないと主張している
- その内容にも一貫性がある
- 話を聞いているところでは不自然なところもない。けれど書類に不自然さが残る
そんな時は、営業担当者に質問します。
営業担当者が単価や数量を変えたりして、取引金額の一部を横領していることがあります。発覚した場合は、税務上の判断もさることながら、横領された件をどうするかはその会社の判断になります。金額が大きいのであれば告発されることもあります。
このようなケースが、税務調査をきっかけに見つかることがあることも事実です。
関連記事
投書について
国税局や税務署には、いろいろな情報が集まります。税務調査官が現場で収集する情報、普段の生活で...
消費税の調査
税務調査は、法人税、所得税などメインとなる税目があり、付随して源泉所得税や消費税の調査を行う...
著名人や富裕層への税務調査
かつて税務署にいたころ、調査先から言われた言葉があります。「こんな小さなところにばっかり調査...
税務調査の種類と調査対象者の選び方
会社の代表者や個人事業主の皆さんが恐れていることのひとつに「税務調査」があります。 実際に...