税務調査の訪問(臨宅調査)調査官の人数
- 公開日:2014/10/03
- 最終更新日:2015/03/26
調査官が、法人事務所等に訪問して調査をおこなうことを「臨宅調査」と言います。
税務署の調査は基本、法人の事業所やお店、工場などいわゆる「現場」に訪問をします。税務署に来てください、というものはありません。この「臨宅調査」では、調査官はどのような動きをするのでしょう。また、何を質問していくのでしょうか。税務署調査官の人数によって、調査の力の入れ具合や対応が変わってきます。そのあたりを説明させていただきます。
税務署調査官の人数
調査官は、1人または2人でやってきます。1人で来る場合は、ある程度の経験を積んだ職員やベテラン職員です。2人で来る場合は、次のパターンが考えられます。
- 経験の浅い職員とベテランのコンビで新人職員の実地研修も兼ねているケースです。
- 調査内容について、1人より2人の方が効率が良い。
つまり税務署としては、重要な調査事案であるケースです。税務署担当者で、おおむね調査の強弱なども推察することができるのです。
①初めての税務調査の場合
税務署の調査が初めて、または売上規模がそれほど大きくない法人には「1税務署調査官の人数」で説明をしました経験の浅い職員とベテランのコンビが来るケースがあります。税務署の規模にもよりますが、新人職員が配属される税務署はある程度、決まっています。小規模の税務署には、新人職員の配属がありません。あなたの管轄の税務署の規模が小さい(職員数40人未満)のであれば、新人職員が来ることは、ほとんどないでしょう。
新人職員への研修目的もあるため、ベテランが主導で調査法人に対する質問等を行います。新人職員は、ベテラン職員の質問応答をメモしていきます。また、ベテランは調査法人が作成している帳簿類を新人職員に説明をしたりと税務調査と研修を行うため、結構、たいへんなんですね。新人研修に対して神経を使っていれば、調査の踏み込み具合も浅いものになるかも!?
以前、私が担当していた法人に同様の調査がありました。その際、調査法人の社長が、新人職員に対して「あなたは、なぜ税務職員になったのですか?」と質問をしたところ、新人職員はだまってしまって答えられなかったということがありました。税務職員としての、気概を感じなかった点に社長は、「この程度の担当者が、うちの調査をするのか」と憤慨し、また、税務署は当社をその程度だと思っていることが残念と嘆いてもいました。税務署の新人職員の皆さんには、ぜひ日頃から「税務職員たるものは・・・」ということを口に出さなくとも、考えていただきたいと思います。
②税務署調査官が2人でやってきた場合
では、次に税務職員が2人でやってくるケースで想定されることを説明させていただきます。一般的な税務署の調査であれば、1人で来るのケースが多いのですが、2人となるといろいろなケースが考えられます。
- 調査法人の情報で、特別なものがあり確実にその内容の確認が必要、または現物を確認する必要がある。
- 過去の調査で協力をいただけなかった。または非協力と判断された。
- 店舗規模や工場が大きく、1人では効率が悪い
その他にも、理由が考えられますが、面倒なのは「特別な情報」を持っていてその内容確認を初日の訪問でしなければならない場合です。
例えば、法人の売上と思われる振込入金が個人名義の通帳にあるなどの情報を持っていてその入金について、売上金の計上がないと税務署は睨んでいる。こんなケースは、その振込みされている通帳と取引内容の確認をしなければ税務署には戻れないくらいの意気込みでやってくる場合があります。さらに担当者は、直接、その点について質問をしてきません。あくまでも質問の繰り返し、現場での書類確認から把握した形にこだわるのです。
その結果、税務署調査官が長時間にわたり居座ることになることもあります。お互いが疲れてくるときもあり、社長が「まだ、何かお尋ねされることがあるのでしょうか」などと言うと、また、回りくどく質問をしてくるといった具合です。このような状況になった場合は、「一旦、今日はここまでにしませんか。後日、私が税務署へ出向きますので、そこでお話を・・・。」などと、税理士が気を利かせて発言してくれると、双方が楽になる場合もあります。
税務署調査の初日は、いろいろな駆け引きのスタートでもあります。初日にうまくできるか、できないかで次の展開が大きく変わります。皆様も初日をうまく乗り切れるか、がポイントになります。
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