裏帳簿・二重帳簿について
- 公開日:2015/04/02
- 最終更新日:2015/04/02
テレビドラマなどで聞く「裏帳簿」「二重帳簿」などは、実際にはよく作られているのでしょうか。今回は、この「裏帳簿」や「二重帳簿」などのお話をさせていただきます。
1. 「裏帳簿」や「二重帳簿」は本当にあるの?
商売を始めて、数年は赤字経営、利益が出てもホントに少額で・・・などと言われる経営者はたくさんいらっしゃいます。開業してすぐに、利益が出る商売はほんの一握りと言えるでしょう。昔から、「3年くらいは我慢して・・・」などと言われるとおり、いかに早い時期に軌道に乗せるかが大事になってきます。
その後は、順調に利益が増加・拡大の一途となっていけば良いのですが、そうなったときに「税金」の重さに気付かされるのです。
仮に、利益(所得)が無い場合には、個人事業者であれば、所得税はかかりません。地方税などが最低限の負担となります。法人も基本的に同様です。地方税の均等割の負担が必要になるだけです。
しかし、利益(所得)が増加するにつれ、負担する税額も増大!また、併せて健康保健などの負担も増大するのですから、負担感は倍増どころではないかもしれません。そんな時に、ふと「利益減らせないかなぁ・・・」という考えが芽生えてくるようです。
では、実際に「裏帳簿」「二重帳簿」といわれるものを自分で作ってみようかということを考えてみましょう。ここの段階で、あきらめる方が意外と多いのではないでしょうか。
実際に、帳簿を作成している方は分かると思いますが、真実の記録をした帳簿を作成するだけでも、かなりの時間と労力を使います。それに加えて、もう一組の帳簿書類を作成するとなると、普段の業務に支障が出たりするなどの影響が生じます。
また、「裏帳簿」を作成して減少させた税額等とその労力とのバランスを考えると、果たして、そこまでやるだけのメリットはあるのだろうかということになります。最近では、「裏帳簿」「二重帳簿」を作った場合のメリットとリスクを考えた場合には、リスクの方が上回ると判断する方が多いのかもしれません。
2.実際にあった「裏帳簿」
最近では、あまりお目にかからなくなった「裏帳簿」ですが、かつて、手書きの帳簿が主流であった頃はどうだったのでしょうか。
私も、税務調査で数件ですが「裏帳簿」や「二重帳簿」といったノート類を確認したことがあります。以前にも、お話しさせていただきましたが「三重帳簿」というのもありました。調査の際、「裏帳簿」を見つけるきっかけも様々でした。本人を説得に説得を重ねて出させるというイメージを皆さんはお持ちかもしれません。
実際には、何気ない会話や帳簿書類の保管場所などの確認をしながら見つけるなどが多かったように思います。稀なケースとして、ご家族の方に売上帳の保管状況など質問をしたところ売上帳として提示してきたモノが実は、裏帳簿だったということがありました。苦労して、裏帳簿を作っても身内がボロを出すこともあるんですね。
3.パソコンの普及によって
ご紹介しましたように、かつては手書きで帳簿類を作成していたため、「裏帳簿」「二重帳簿」というようなモノがでてきましたが、最近の会計処理は、ほとんどがパソコンで行われています。会計ソフトも使いやすくなり、基礎的な簿記会計の知識があれば、短期間で習得できるようです。
パソコンで作業された内容は、全てが正しいように見えてしまいます。しかし、考えようによってはかつての手書きの時代よりもパソコン作業の方が「裏帳簿」「二重帳簿」の作成は簡単になっているかもしれません。テレビドラマでの「裏帳簿」としてでてくるのは、CD-ROMかUSBメモリーになっています。
税務調査でも、当然ながらパソコン内のデータなどの確認をする時代になっています。かつては売上除外をしていた証拠を事務所や家中を探していましたが、現在は、普段利用しているパソコンから、会計データや使用した履歴などから判明してしまいます。
税務調査も、時代とともに進歩しています。裏帳簿を作っても、うまくいくかどうか分からない不安とリスクを背負っての毎日は精神的にも疲労することになります。正しい申告と納税で精神的にも元気でいられるのなら、と考えると自ずと答えは決まっていますね。
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