建設業の情報収集について
- 公開日:2015/02/06
- 最終更新日:2015/03/27
調査官の情報収集、今回は、建設業についてです。税務署はどのようなところで情報収集をしているのでしょうか。
建設業の情報収集
建設業界は、最近厳しいという評判ばかり耳に入ります。私のところへ相談にいらっしゃる業者さんも、決済の約束手形の期日がかなり長く資金繰りが厳しいとおっしゃられます。
以前ほど、税務調査の対象としての注目度が高いのか不明ですが、業界が厳しいからと言って、税務調査が無くなるわけではありません。税務調査はどんなときでもやってくる可能性はあります。
①街中の建築現場にて
建築関連業者は、業種も多く現場での分担もはっきりしています。例えば、ひとつの工事現場で足場関係、基礎工事、大工、ガラス屋、塗装業者、フェンス工事など様々な業種が出入りします。今週は、基礎工事の業者、重機を扱う業者が出入りしていても翌週には、大工、3週間後には屋根工事や窓枠サッシ業者という具合に工事現場では、進行状況に応じて出入り業者が変わります。
そのため、工事の進行状況により現場に止まっているトラックや車の表示に注意をします。「○月○日 現場 □□市△△町1-1 ××邸工事 業者名 □□建築」などのようにメモ帳に記録して出勤する調査官もいました。収集した情報は、KSK(国税総合管理システム)に蓄積をしていきます。
②お尋ねの実施にて
税務署では、申告の内容の確認のため、いろいろな情報を広く収集することをお願いしています。新築で家を取得された方は、「お尋ね」というアンケートのようなものをお願いされたことがあるのではないでしょうか。
これは、工事内容により各業者へ「いつ」「いくら」支払ったかなどを一般の方にお尋ねするものです。主な業者として、大工、塗装業、電気水道などの配管業者などに支払い金額等を記入してもらうのです。このような「お尋ね」の回答は、建設業を初めとした業者さんへの調査のための情報に利用します。このお尋ねには、建築設計業者や司法書士なども対象としています。それらお尋ね回答を、KSKに蓄積をしていきます。
また、家を新築するところでは、大きなお金が動きますので親族間での贈与なども含めた総合的な課税判断をすることができます。
③所得税の確定申告にて
所得税の申告をする項目のひとつとして「住宅ローン控除」があります。借入金をして、家を建築するまたは購入した場合には税額控除が適用できるというものです。
この適用を受けるには、数種類の必要書類を準備しなければなりません。必要書類のひとつに「建築工事請負契約書」のコピーがあります。また、住宅ローン控除の適用額が増える可能性があることから、追加工事などの契約書または領収書などのコピーも提出されることがあります。
このように、本体工事から追加工事までの書類を申告書に添付されるものですから、特に地元の業者さんを利用されているケースは、大事な情報元になることは間違いありません。契約金額、追加工事などの金額を情報収集します。また、その契約書などに収入印紙が貼られているか、なども見ています。
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