現場確認について
- 公開日:2015/06/17
- 最終更新日:2015/06/17
税務調査は、帳簿をずっと眺めているわけではありません。実際に商品を売っている場所、作っている場所、保管している場所、いろいろな場所を見ます。税務調査官は、何をみているのでしょうか。
1 ヒト・モノ・カネの動きの把握
税務調査は、調査先の事業について全体を把握しなければなりません。
- どのように商品が生産・出荷されて店頭に並び、売られていくのか
- カネはどのように、流れていくのか
- それぞれにヒトがどのように関係していくのか
これらが分かってからでないと、帳簿類を見ても単なる数字の確認だけになってしまいます。
帳簿に現れないところがあるとしたら、何かを探るのが調査です。
2 帳簿に記録されない取引
例えば金属加工業の調査をしたとします。金属加工した製品を販売する業者です。
ある取引先からオーダーが入ります。
原材料となる金属を仕入れて、オーダー通りに加工をします。
製品を期日までに納品して、請求書を発行し取引先に渡します。
決済日に、預金口座に振込入金されたことを確認して完了です。
これらの取引については次の書類を確認することになります。
- 発注書・・・取引先からのオーダーの内容が記録
- 注文書・・・原材料の仕入れ
- 作業書・・・加工内容や仕様を記録した内部書類
- 納品書(控)・・・取引先に発送した製品の内容を記録した書類
- 請求書・・・取引先への請求
- 通帳など・・・入金状況の確認
その他にも、会社ごとに一連の取引に決まった書類の作成があるかもしれません。
そのような書類として残っているものだけを見ていても分からないことがあります。
金属加工業などの場合、加工した際に「鉄くず」が発生します。
鉄くずと言うだけあって、捨てられるのだろうと思われがちですが、これが、意外にいい値段で引き取られるのです。
製品加工の数量が増えれば、この鉄くずの発生も増えます。1年間でこの鉄くずの売却金額が数百万円になることもめずらしくありません。この鉄くずの売却金額を記帳せずに、除外していたケースはよく見かけられました。
先ほどの一連の流れから外れたところにお金を生むポイントがあったのですが、帳簿や関係書類だけを見ていても分からないところです。作業している現場を見ていればヒントがあるかもしれません。
例えば鉄くずをどこかに集めている所があれば、これをどうするのか聞くことができるかもしれません。調査先によっては、現場に入られることを嫌がることもあります。しかし、現場でしか分からないことがあることも事実です。
3 帳簿に記録されていない在庫
帳簿に全取引を記録することが原則ですが、中にはあえて記録しない方がいます。
例えば、ひとつの商品または製品の仕入れから売上までを一切記録しないとしたらどうでしょう。このような大胆な方法は少なくなりましたが、一部で見つけることができました。
特定の取引先だけを除外する場合、記録には残らなくとも商品や製品が保管されていたり、現場に伝票が残っていたりすることもあります。
例えば、調査日における在庫確認などが有効であったり、通常の発送先でない送り状控があったりと、やはり、現場でないと見つけることができないことがあるのです。
このように税務調査では、案内された会議室や応接室だけではなく、加工場や工場、店舗などの現場を見ることが大事とされています。
税務調査では、帳簿を見ることは基本ですが、現場をウロウロしたがる調査官は、注意した方が良いかもしれません。
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