相続財産の現物確認について
- 公開日:2014/12/16
- 最終更新日:2015/03/27
臨宅調査では、聞き取りをすることも大事ですが、相続財産が調査日においてどのようになっているのかを確認することも重要です。そのため、一定の質問が終了すると「相続財産の現物確認」が行なわれます。「相続財産の現物確認」とは、何をするのでしょうか。土地や建物などは動かすことはできないため、外から見ての確認になりますが、現金や通帳、保険証券、地金などは直接、目の前にして確認を行ないます。当然、お金はお亡くなりになってから、かなりの時間が経過していると使っているケースはありますが預金通帳などは残っている場合がありますので確認されます。
おおむね、臨宅調査の午後あたりから始まる「相続財産の現物確認」。次のようなものが調査対象となります。
①預金通帳
預金通帳は、まず残高を確認するというよりもその時々において、お金の動きをメモしたものが重要となります。
- 何かを購入した。
- 別の口座へ移動させた。
- 誰かに送金した。
などです。これらのメモがあれば、さらに購入したものや移動先の通帳等を確認します。メモが無い場合は、高額の買い物をしたのか、またはご家族で資金が必要になったりしていなかったかなど、お金が動いている内容を相続人に質問したりします。現場では高額の買い物をした際の注文書や請求書・領収書などを探したりします。お亡くなりになる数日間、またはケースによっては何ヶ月にもなりますが現金出金を確認します。現金出金の状況から、お亡くなりになった時点での現金残高などを推測します。
②保険証券
被保険者名義がお亡くなりになった方でない場合、保険は契約者を変えて継続することができます。最近では、配偶者やお子さんの名前が被保険者になった年金や保険契約が増えているようです。相続をきっかけに、一時金で払いだしたりも可能なので、納税資金にしたり、相続後の生活資金など活用方法は幅広く生命保険会社ではかなりお勧めをしているようです。このように、お亡くなりになった方が契約していた生命保険の調査時点現在の状況を確認をするものです。
③貴金属や地金、骨董品
指輪など宝石類は、確認をしますが高価な金額が付くものは正直あまり無い印象があります。地金(インゴット)は、重さで換算金額が計算できますので確認をします。地金は一時期、ブームになりましたが一般家庭にも1kgのインゴットが保管なんていうことも珍しくない時代です。実際に、貴金属業者の書類などが見つかれば、売ったものか、買ったものか内容により実際のモノを確認します。骨董品ですが、私の見方は中身で見るより外箱などを注目していました。中身の価値は正直、私では分かりませんでした。その代わり、外箱の方には何かしらのヒントがあったりします。
例えば、
- 桐箱(外箱)に骨董屋の商品管理をしているシールが貼ってあったり、その跡がある。
このようなものは、骨董屋の中でも大量に扱われている中のひとつに過ぎないことが分かります。
- 桐箱と内容物の大きさが合わない。
高価な物は相応の桐箱が用意してあります。桐箱のサイズと内容物のサイズが合わない場合は、骨董屋が勝手に組み合わせを変えて入れているのです。このような確認方法をとり、あと高価であることが予想されるものはインターネット、美術年鑑等を参考にしておりました。
④その他の書類
上記以外にも、現場で確認が必要なものは確認していきますが、確認する中で、調査官が知らない情報となる契約書などの各種書類を把握することができます。私が過去に見つけたものでは、
- 建設業者との建築請負工事契約書があるが、現地ではない所在地になっている。
その家屋は登記がされておらず、固定資産税は、子供が払っている。家電製品などの購入した書類があるが、配送先が子供の住所になっている。お子さんの新居を建築してあげたものです。この場合、「家屋や家電製品をお亡くなりになった方の財産」と見るのか、「家屋などの購入資金を贈与」したのか、「家屋などの購入資金を貸し付け」たのかその後のお金のやりとりなどを確認して考えなければなりません。
- 旧札の混じった現金の束。
お亡くなりになった方が、どのような収入を得ていたのか、家庭内の現金管理はだれが行っていたのか、などを聞き取りのうえ相続財産であるか判断をする必要があります。
- 生前中に知人へ貸した金銭の借用証書。
いつ時点でそのような金銭の貸し借りがあったのか、その後の返済状況等を確認して、さらには相手の方へ確認を行なう必要がある場合もあります。金銭貸し借りは、親子間では借用証書を作成するケースは少ないのですが、他人であれば、作成するケースが多くあります。しかし、「貸した」ことは記入があっても、いつ貸してどのように返済をしていくのか判断しづらいものが多くあったように記憶しています。
これらは、現場でしか見つけることができません。調査官は、何かしらのヒントとなる情報を常に探しています。
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