反面調査の目的
- 公開日:2014/10/03
- 最終更新日:2015/03/26
所得税の調査においても、取引相手のところへ行って取引金額を確認する、いわゆる「反面調査」を行います。今回は、反面調査の目的について、説明させていただきます。
1.売上金額の把握
所得税調査の場合、法人組織で活動している事業者と違い家族経営、または全くの一人で事業を行っているところも多いため、経理担当者を雇うまでの余裕がないと言う方が多くいらっしゃいます。理由はともかく、書類の整理保存をはじめ帳簿やパソコンへのデータ入力など結構な時間と労力を使います。貯めておいて、後でまとめてやろうという方が多いのですが、意外に書類を保管していたつもりなのに出てこないということが発生します。
- 確かにあのときに支払った記憶があるけど、領収書がない
- 集金した時に、何かにメモしたけど忘れてしまった
などなど、集計を始めると問題が次から次へと出てくるのです。
このような所へ税務調査があったとしたら、調査官はどうするのでしょうか。調査官は、あれを見せてこれを見せてとお願いしても、一部の書類しかありません。請求書や領収書が、月ごとにまとめてあればいいのですが、それすらもない。このような状況は、所得税の調査ではよくあります。
困った調査官は、税務調査で重要な項目はまず「売上金額」ということを思い出します。売上金額がいくらあるのか、その金額を得るためにいくらの必要経費がかかったのか、という観点から、まずは売上金額の確認ができる方法を探します。業種にもよりますが、特定の取引先があれば取引先に記録が残っている可能性があります。取引先で確認する項目はおおむね次の通りです。
- 調査期間における取引金額
- 振込、現金払いなどの決済方法
- 決済時に相殺した金額の有無
- 各年末時点での掛残高
- その他
調査の内容や展開の仕方にもよりますが、以上のような内容を尋ねることになります。臨宅調査で判明しなかった取引金額を確認します。毎月のように取引があるにもかかわらず、記録が無い場合にそれがどのような原因なのか何か理由があるとしたら、それは何かを突き止めます。以上のように、まず売上金額の全額把握を行うために相手先へ行く場合があります。
2.情報の信憑性の確認
税務署では、いろいろなところで情報収集をしています。税務調査はもちろん、何かあれば取引先や取引金額の把握ができないかと考えています。そのように、収集された情報はデータ化されて蓄積されます。税務調査では、そんな情報を生かすべく調査官はあらゆる質問を続けるのです。
例えば、A社と年に何回あるかは不明だが数回の取引をされている様子である、という情報を握っているとします。臨宅調査では、いろいろと帳簿、請求書控などを見たけど「A社」の文字は出てこない。通帳を見ても出てこない。調査官は雑談をしながら、「A社」の認識があるのか探りを入れると「知らない」という。または、A社と取引を認めても記録は無いという。 いろいろと調査官は質問をすれど、取引全体の把握はここ、臨宅調査ではできないと判断をすると反面調査となるのです。
取引相手先では、「1.売上金額の把握」で述べたような項目を確認することになるのですが、一番大事なことは、調査対象者が作成した請求書や何かしらの書類を見つけることです。その請求書などの書式が、通常利用されていない書式であれば、明らかに「売上除外」を狙ったものと判断できるからです。
逆にA社が故意に必要経費などを水増しに利用しているケースもあります。つまり、調査対象者と組んでA社にメリットがある税金対策を仕組んでいたというケースも考えられます。その場合は、A社の大事な情報として連絡がなされることになります。立場を利用しての架空取引などは、下請けや関係者も協力を依頼されると断りづらいかもしれません。このように反面調査先での確認も大事なものとなります。
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