法人税の税務調査時期と選定方法
- 公開日:2014/09/24
- 最終更新日:2015/03/26
税務署の調査を行われる際には、
- どこを対象とするか
- なぜ、調査対象として選ばれたのか
などが気になるところですね。
税務署の調査選定のポイントなどは多岐にわたり、なかなか簡単には説明ができません。しかし、基準が無いわけでもありません。ここでは、調査対象法人選定のさわりの部分を説明させていただきます。
1.『KSK』システムについて
国税の事務手続きから情報管理まで、この『KSK』というシステムにて行われています。
情報管理としては、
- 過去の申告履歴、
- 調査等で知り得た取引情報、
- 法定調書
などの情報が一元管理されています。法人税のみならず所得税やその他の情報も同時に管理されています。このデータを元に、あらゆる分析を行います。毎年、これら分析結果などを基礎に各法人のポイント計算を行います。つまり、これが法人税調査を行うかどうかの一次判定をしているのです。ポイントが高ければ、調査を行いましょう、というわけですね。
次に、システム上で判定されたリスト、全部の法人を調査できるわけではありませんので二次判定を行います。ここの部分は、システム、つまり機械の目で行うわけではなく職員の目で判定をします。ある意味、職人的な見方をします。機械のポイントも重要視をしますが、最終的は人の判断が大事になるところでもあります。
2.法人税の調査が来る時期とは
法人を設立して営業を開始、2~3年が経過しました。順調に売り上げを伸ばして、従業員も入れることができた、何かも順調に思えたある日。「税務署がそのうち来るんじゃない?」知人や取引先などから、何気ない一言。この一言で、順調だと意気揚々とした気持ちが反転、不安な日々へと変わったりもします。では、実際に開業していつごろ税務調査はあるのでしょうか。
①初めての調査
私の経験上の話と実際の調査があった法人のところで言いますと開業して○年後には、必ず来るという時期はありません。しかし、第5期から第8期あたりに調査が来たというケースは多く聞きます。先ほども述べたように、調査の第一判定は『KSK』というシステムで行われます。前年データなど、比較できるデータや情報がないことには、選定されないわけです。
そのような点で考えると、データ蓄積が行われた時期、おおむね3~4年経過した後に第1回目の調査選定が行われるものと思われます。しかし、必ず来るというものでもありませんので、あくまでも参考にしておいてください。
②2回目以降の調査
1度税務調査があり、何かしら問題があると次の調査に来る時期は3~5年後に来る可能性が高いと私は、よく説明をさせていただきます。実は、あまり根拠は無いのですが、税務署サイドとすれば調査において問題点を指摘したところが、ちゃんと正しく直されて処理されているか前回調査の効果の確認をしなければなりません。その意味からも、あまり期間を置くのは税務署にとって得策ではないのです。
税務調査で特に問題がなかった場合はどうでしょう。こちらはもう少し期間が長くなる傾向があります。しかし、売上規模や従業員などを増やして会社規模が調査時期のものよりもずいぶん変わっている場合には、3~5年後に来るケースもあります。
このあたりは事業を順調に伸ばしているために行われる調査であることから、致し方ないのかもしれません。
3.まとめ
一般的な調査割合から計算をしますと、税務署調査は20年に一度程度というデータがあります。
しかし、これは休眠会社や法人活動をしていてもかなり小さいものなども分母に含まれています。実際に、活動している法人であれば規模によりますが、5億円以上の売上があれば3年から5年程度それよりも少ない売上の法人であれば、5年から8年程度のサイクルで調査があると思われます。
※資本金1億円を超える法人は、大規模法人に該当しこの説明の対象から外れるものとなります。
以上が、法人税調査の選定についての説明でございますが、ここでご注意いただきたい点がございます。説明させていただいた内容は、私の経験上での内容が多く、税務署では、予想以上の情報を持っています。必ずしも、説明させていただいた時期、サイクルで調査があるわけではありません。それよりも早い時期、早いサイクルでの調査は現実にありますので、ご承知おきくださいますようお願いします。
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